吃音は治らなくても、改善することはできると以前「吃音って治るの?」の記事で取り上げました。
本記事で紹介する吃音改善方法は、僕が言友会で知り合った、高橋さんに教えていただいた吃音改善法です。
高橋さんは、この吃音改善方法により、ほぼ吃音を改善されています。
非常に取り組みやすく、無理のないものですので、ぜひ実践してみてください!
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■目次
吃音改善のためにやるべき5つのこと

まず先に吃音改善のためにやるべき5つのことを箇条書きで紹介します。
- ゆっくり喋る
- 緩急語をつける
- 隙間時間に発声練習
- 発表前はひとりで練習
- 自己暗示をかける
それではこの5つについて詳しく解説していきます。
1.オーバーなくらい『ゆっくり喋る』ことを意識する
「ゆっくり喋ってごらん」
吃音者の方は、非吃音者の方に「ゆっくり喋って」と言われることを快く思いません。
理由はいくつかあって、ただ単にゆっくり喋ったところでどもるからです。
「ゆっくり喋ってないからどもるんだろ」と決めつけられるのが嫌なんです。
「何も知らないくせに」と思う吃音者の方が多いんじゃないでしょうか。
でもゆっくり喋った方が良いというのは、あながち間違っていないのかもしれません。
客観的にみた場合、吃音者は非常に早口みたいなんです。
だから、『オーバーなくらいゆっくり喋る』ことを意識してみてください。
言葉の出だし、例えば、
「私の名前はすぐるです。」
この場合、『私』の『わ』もっと細かくいうと、子音の『w』をゆっくり出すくらいに意識してみましょう。
自分でも「これはオーバーすぎないか?」と思うくらいゆっくり喋るのがベストみたいです。
戦場カメラマンの渡部陽一さんくらいが良いのかもしれません。
言葉の出だしだけでなく、言葉1つ1つもゆっくりを心がけてみてください。焦らずゆっくりです。
すると、意外とどもらないことが実感できると思います。
もし、会話している相手が非常に早口の場合でも、こちらのペースに引き込むぐらいの気持ちで喋ってみましょう。
よくよく考えてみてください。
どもって恥ずかしい思いをするのと、ゆっくり喋ること、どちらが苦痛でしょうか。
もちろんゆっくり喋ってもどもることはありますが、どもる率はグッと減ります。
でも意識しないと早口になってしまうので気をつけてください。
自分の動作からゆっくりするよう心がける
職場や学校では全ての動作をなるべくゆっくりにしてみてください。
極力自分のペースを守ることが大切です。
例えば、
- ゆっくり歩く
- 電話の受話器をゆっくりと取り、ゆったりした気分で話す
などですね。
先ほどもお伝えした通り、会話のペースにも気をつけてください。
なるべくゆっくりを意識しましょう!
高橋さんは以前、『ゆっくり喋る』ことがいかに大切なのかを説明するために、とてもわかりやすい例えをしてくれました。
それを紹介します。
車に乗っていることを想像してください。
喋ることをアクセルを踏むことだとします。
そして、喋る速さによってアクセルの踏み具合が変わってきます。
早口で喋ると車は猛スピードで進みます。どうなると思いますか?
車は事故に遭う=どもってしまう
非吃音者の方でも、早口だとどもってしまいます。
それが吃音者だとなおさらです。
吃音者は特に事故を起こしてしまいやすいのです。
それがゆっくり喋るとなるとどうなりますか?
アクセルはあまり踏まれず、車はゆっくり進みます。
ハンドル操作も容易く、事故に遭いづらいですよね!
でもこれだけでは、いくらアクセルをちょい踏みだとしても、車はどんどん速度を増していきます。
事故りますね……。
ではどのようにすればいいのかこれから詳しく解説していきます。
2.「え〜〜」や「あの〜〜」などの緩急語を使う
よく人前で発表する人で、「えぇ〜〜これから・・・」みたいに、言いたい言葉の先頭に「え〜〜」や「あの〜〜」をつける人がいますよね。
僕の学校の校長先生はだいたいそうでした(笑)
でも特に違和感はないですよね?結構使ってる人も多いんですから。
吃音者はこの緩急語を取り入れればいいのです!
いくらゆっくり喋るといっても、なかなか最初の一語目が出ないことがあります。
これにどう対処したら良いかというと、今お伝えした通り、緩急語を使えばいいのです。
まず、「え〜〜」と声に出してみます。喋りたいことの最初の一語目が出そうになるまで「え〜〜」を続けます。
そしたら言葉を出すタイミングが見つかるはずです。
「え〜〜」と言うのが恥ずかしいのであれば、「あの〜〜」でもいいし、「あ〜〜」でも構いません。
もしくは緩急語の声のボリュームを落としてもいいみたいです。
要は、最初の言葉を発するタイミングが見つかれば良いのです。
そしてこの緩急語を使う、もう1つの重要なことは、ペースを整えることです。
喋ってるとつい、早口になってしまいます。
今まで早口だったので、当たり前のことかもしれません。
だからそれに歯止めをかけるのです。
ところどころ緩急語を入れるように意識してみてください。
一度しか使っちゃいけないなんてルールはありませんからね^ ^
この『緩急語を使う→歯止めをかける』がさっき言った、車の例の続きです。
アクセル踏みっぱなしだと、車は止まりませんよね。
それどころか、どんどん加速してしまいます…。
そして最後は事故ります。=どもります。
だからアクセルを緩める、もしくはブレーキをかける必要がるのです。
慣れてないうちはスピードを出し過ぎてしまったり、アクセルorブレーキ調整がきかなかったりするのです。
だから常に『ゆっくり喋ること』
また、
『緩急語を使うこと』を意識してペースを整えましょう!
3.朝の通勤・通学中に話し方の練習をする
いきなり実戦で意識しろと言われも無理があるかもしれません。
だから一人で練習する時間を作りましょう。
朝の通勤時間に車を運転しながら練習をするのがおすすめです。
車を運転してる時ってどうしても暇ですよね。
車のハンドルを握りながら、今まで紹介してきた話し方で発声練習をすると良いのです。
アクロバティックな発声練習ではないので車の運転に支障は出ません(笑)
具体的にどうやればいいのかと言うと、言葉の語尾を長く伸ばして次に繋げるような練習です。
例えば、
「エ〜〜げつようびーー。エ〜〜かようびーー。エ〜〜すいようびーー。エ〜〜……」
といった感じですね。
絶対にゆっくり!緩急語をつける!を心がけてください。
一人で練習する尚且つ、上のような発声をすることで、あまりどもらなくなります。
そのどもらない感覚が、耳から脳に伝わっていって徐々に良いクセが身についていきます。
もし通勤・通学に車を使っていない、もしくは通勤・通学をしないような方は、朝一人で練習できるような空間と時間を作ってください。
これをやるかやらないかで大きな違いが出てきます。
4.発表の前は一人で練習する。
学生でも社会人でもプレゼンをする機会はあると思います。
僕も学校で何度かやりました。
あれつらいですよね^^;
でも、発表の前に話す内容の原稿をつくって、一人で発表の練習をすることで、失敗する可能性はほぼ無いみたいです。
もっと具体的に説明します。
原稿を作ったら、人のいない空間を作ります。
そこで、実際にたくさんの人がいるようにイメージをして、発表の練習をします。
イメージがとても大切です。
ただ練習をするだけでは効果が薄いようです。
そして、自分が十分だと思うくらいまで練習を繰り返してください。
これをするだけで、本番であまりどもらなくなるようです。
というより、ほぼどもらないみたいです。
ここは妥協しないで、納得のいくまで練習したほうがいいようですね。
発声練習は逆効果だと言う吃音研究者もいます。僕が以前通院していた言語聴覚士の先生もそう言っていました。
でも僕は、そこに計5年くらい通っていましたが、治りませんでした。
詳しくは吃音って治るの?を読んでみてください。
人それぞれだと思いますが、僕は発声練習はしてもいいのかなと思います。
練習しないで発表に臨むのと、練習してから発表に臨むのでは全然心持ちが違いますからね。
5.自己暗示をかける
自己暗示って結構強力なもので、自分が”そうなる”と念じ続ければ、”そうなってしまう”みたいなんです。
ただ、「僕は吃音じゃ無い。吃音じゃ無い。」なんて自己暗示をかけても意味がないのは明らかですよね(笑)
そうではなくて、
「僕は人前で話すときは、絶対に出だしからゆっくり、オーバーなくらいゆっくり喋るようになる」
と言う風に自己暗示をかけることが大切です。
今の自分にできることを念じてください!
そして、声に出して暗示してくださいね。何度も何度も暗示をかけていくことで効果が出てきます。
朝の散歩の時間でもいいし、夜寝る時の布団の中でも構いません。
自己暗示をかける時間を作ってみてください。
吃音というクセを治すと考える→『吃音を忘れる』

吃音は昔から頭にこべりついたクセだと考えることです。
クセってなかなかやめられませんよね。
吃音も同じです。
意識してクセを取り去ろうとしないと、なくなることは無いです。
簡単に言えば、『どもるという感覚を忘れる』カギとなります。
そんなの無理だ!と思いますか?
僕が今まで解説してきたことを実践すれば、『吃音を忘れる』感覚を手に入れるのもそこまで難しく無いことだと思います。
でも、どうしても言いにくい言葉ってありますよね^^;
そういう時は無理に言う必要はないです!
出てこない言葉は、違う言葉で言い換えるようにしてください。
これを工夫と言いますが、この改善法は吃音の感覚を忘れるためであるので、工夫してもらって結構です。
でも最終手段ぐらいで思っておいた方がいいかもしれませんね。
『どもりそうだから発言自体しない(回避)』はやめてください。
これは吃音が悪化する原因になり、益々吃音に対して負の感情が生まれてきてします。
吃音改善法まとめ:まずはできるとこから取り組んでみよう!
いかがだったでしょうか。
この改善法で大切なのは『どもる感覚を忘れる』ということです。
どもる感覚を忘れるのにはとても時間がかかります。
一年や二年かかってしまうかもしれません。
それでも長い人生で見ればほんの僅かな時間です。
これを実践するのはそこまで苦じゃないと思うので、今まで色々試してきたけど治らなかったという人はぜひ参考にしてみてください!
それではもう一度、吃音改善方法のおさらいです。
- ゆっくり話す
- 緩急語をつける
- 隙間時間に発声練習
- 発表前はひとりで練習
- 自己暗示をかける
最後まで読んでいただきありがとうございました!
今後も吃音者の方、もしくは身近に吃音を抱えた人がいるという方のために、吃音の情報収集と情報提供を欠かさないよう努力してまいります。
吃音改善方法は、人によって相性があります。
本記事の吃音改善方法を行うことで必ず吃音が治るといった保証はございません。
他にも、吃音に関する記事はたくさんあります。
吃音のカテゴリーから吃音の記事一覧を見ることができますので、気になったものはぜひ読んでみてください。
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